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3日間で争われるレースの初日は、午前に2.9kmのプロローグ(一人で走るタイムレース)午後に、プロローグと同じ一周2.9kmのコースを30周する87kmが行われる。
2日目に登りの厳しいステージが控えているものの、初日、3日目と平坦なコースが多く、登りでのアドバンテージが必ずしも決定的なものになり得ないため、プロローグのタイムも重要なポイントとなる。
今回シマノは、春先から好調の、野寺、大内、廣瀬を中心にレースを組み立てて行く事に。中でも、大内、廣瀬の両選手は平地&登り共に力が安定しており、ダブルエースとして臨む。
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| プロローグ 2.9km 下北山スポーツ公園 |
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2.9kmの中にコーナーが多く含まれるテクニカルコース。スピードと共に、コーナリングテクニックも重要なレイアウト。朝からの強風で、風が吹くタイミングでもタイムが変わってくる。一番時計を叩き出したのはアイサン期待のルーキー・盛一大、他の選手が風で苦しむ中、ただ一人3分45秒という驚異的なタイムで走りきる。
シマノ期待の廣瀬、大内はトップと約10秒差の5位、6位と順調な出だし。もちろん初日からリーダーを奪えれば良いのだが、この先、力で勝負を決めるには多少の遅れをとっている方が戦略上走りやすい。
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| 第1ステージ 2.9km×30周 87km 下北山スポーツ公園 |
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平坦なコースとはいえ展開がめまぐるしく気が抜けない。シマノとしては、レースの流れを見ながら明日以降、有利な展開に持ち込むよう無難にコントロールしていく。
レースは序盤から大内の動きが良い。途中のホットスポットではミヤタが三船を導くために先頭を固める。まもなく大内のアタックに反応する形で5人の逃げが始まる。冷静にメンバーを見て有利と判断し、そのグループを先行させシマノが阿部、品川、辻を中心に後続グループの先頭でコントロールを開始する。しかし、暫くすると状況が一変。
なんと、1周前にメイン集団内で転倒したリーダージャージを着る盛(アイサン)が審判のミスにより、いつの間にか先頭5人と合流して走っている。《クリテリウムのルールにより転倒した選手は1周遅れて復帰できる、この場合、メイン集団の最後尾に入るべきであった》これにより、チームの戦略は一変してしまう。大内を逃がす動きも、盛に付かれては意味が無い。とりあえず30秒の差をキープしながら集団をコントロール。
レースの最終局面で、それまで温存していた廣瀬も先頭集団に追いつくが、同時に他チームの有力選手も数人前のグループに合流。結局2日目以降の展開を考え、野寺がペースアップを図り集団を一つにまとめ振り出しに戻す。
そのままゴールスプリントとなり、ミヤタのエーススプリンター・三船が優勝。2位の綾部とミヤタ1&2フィニッシュを決めた。シマノは大内の3位が最高。明日以降に勝負をかける。 |
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| 第2ステージ 熊野山岳 117.8km |
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3つの峠越えを含む117km。文字通り最大の山場になるであろうステージがやってきた。リーダージャージを奪うにはライバルにタイム差を付けなければならない。シマノの作戦は、前半から攻撃を掛けつづけ、ライバルチームのアシスト機能を消滅させ、後半に決定的な勝負をつけること。最終局面で今回のエースである大内&廣瀬を、野寺が全力でサポートする形になれば理想である。今シーズンに入り好調なチームには、その理想も不可能ではない。
レースはシマノの動きを他チームが警戒しているのか?例年あるスタート直後のアタックは掛からずゆっくりとスタートを切る。
40km地点、最初の千枚田の登り口から予定通り廣瀬と大内を従え野寺がペースを挙げる。登りの途中先頭を野寺から廣瀬にスイッチするが、ここでは8割に力をセーブ。徐々に選手を絞っていけば良いと考えた。
予定通り、力をセーブして登った千枚田で先頭を10名ほどに絞り込むことに成功。この中にシマノのメンバーは5人と有利な展開に。札立峠に向かう下り基調の道で阿部&品川が隙を見てエスケープする。しかしアイサンはレースリーダーである盛を後続に残してきたためか、積極的に前の2人を追う気配を見せない。この動きを無駄にしないためにも、大内、廣瀬、野寺が交互にアタックを繰り返しプレッシャーを掛ける。
結局、阿部&品川が若干先行した形で最大の山場、札立峠へ。国内のレースでは他に類を見ないこの厳しい峠で何としてもレースを決めたい。上り口から野寺、廣瀬を中心にペースを挙げる。しかし、廣瀬敏(アイサン)だけは振り切ることができない。野寺が繰り返し振るいにかけるが、逆に大内、廣瀬が若干遅れを取る形に。先行していた品川も吸収され阿部がただ一人逃げ続ける。
チームの分解を恐れ、野寺は攻撃を諦め後続に合流。峠を阿部が50秒先行する形で通過。頂上で山岳ポイントを野寺、廣瀬敏(アイサン)の順で通過。ここからのテクニカルで危険な下りを廣瀬敏(アイサン)が猛烈に攻め、阿部との差を埋めてしまう。これに付けたのは野寺と品川。下りきった所で先頭はシマノ3人と廣瀬敏(アイサン)となるが、すぐに後続から集団が追いつき再び10名ほどの集団に。
この下りで大内が痛恨のパンク、険しい山道の中、機材サポートが無く、戦線離脱してしまった。これはチームとしては大きな損失。その後も廣瀬、野寺とアタックを繰り返すが、どうしてもアイサン・廣瀬敏を振り切る事ができない。シマノの攻撃が決まらず沈静化した先頭グループに、リーダー盛(アイサン)を含む後続集団も追いつき、レースは振出へ戻った。
我々に残されたチャンスは最後の峠、今日2度目の千枚田の登りしかない。千枚田の入り口、野寺がゆっくりと先頭でペースを上げる。しかし、他チームの選手は追走してこない。疲れているのか?それとも泳がされているのか?既に考えている時間は既に無い。そのまま約20秒の差をつけ頂上を通過。下りもリスクを抱えながらギリギリのスピードで攻め続け、下りきった所で入った情報は集団と35秒。
ここからは、ゴールまでは若干追い風、下り基調の道を15km。単独で逃げ切るのはかなり難しい。しかし、自分に残された僅かな可能性を信じつづけ、25秒、20秒と徐々に詰まるタイム差にも耳を傾ける事無く全力で走り続けた。
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| 札立峠で逃げる阿部、品川 |
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ラスト3kmで10秒差、ラスト1kmで後ろを振り返ると3人の追撃が直ぐ後ろまで迫る。その3人の中から、最後の丘で絶妙なタイミングで阿部がアタック。頂上で野寺をキャッチしそのままラスト500mの直線まで続く下りを渾身の力で引きまくる。ラスト300m、阿部に導かれた野寺が最後の余力を振り絞りスパートをかけ、この日のステージ優勝と共に、2位廣瀬敏と僅かでは有るが逆転。2秒差でリーダージャージを手に入れる事に成功した。
またこの日、3つの峠の頂上で争われたKOM(キング・オブ・マウンテン)のジャージも野寺が獲得。団体総合時間でもシマノが大きくリードした。明日はこの2秒差を守るレースになる。もちろんアイサンも廣瀬敏を全力でサポートしてリーダーを奪いに来るであろう。シビアなレースになりそうだ・・・
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| 第3ステージ 赤木川清流 125.8km 和歌山県 |
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最終日。川沿いの道を上流へ約8km走り、折り返す、1周15.4kmを7周回。比較的平坦なコースである。新宮市役所前から熊野川町まで、30分程パレード走行をしてから正式にスタートが切られる。
前日までの結果で、リーダーを奪った野寺と2位廣瀬(アイサン)とのタイム差は僅か2秒。正確には2秒未満の差である。周回の途中に設けられた中間ポイントでは、1位から3位まで、-3秒、-2秒、-1秒のタイムが与えられる。ゴール順位でも1位から3位の選手に-6秒、-4秒、-2秒のボーナスタイムがあるため、ボーナスタイムで逆転が可能。リーダーの行方はゴールの瞬間まで判らない緊迫したレースとなった。
当然シマノはこの野寺が持つ2秒のアドバンテージを全力で守らなければならない。レースは序盤から辻を含む6名程の逃げができる。この中には総合成績で上位に入っている選手は居ない。最高でも中川(ミヤタ)の2分30秒遅れであり、このまま逃がせば廣瀬(アイサン)のボーナスタイム獲得を阻止し、野寺には有利に働く。
後続メイン集団の先頭をシマノが固め、先頭とのタイム差を約1分半に保つようコントロールしていく。しかし、ボーナスタイムが掛かるポイントに向け、チームYOU CANが中心になりメイン集団はペースアップ。アイサンがペースを上げてくると思ったが、予想外のチームの動きに意表を付かれた。
先行グループとの差を保つため、無線で先行集団に居る辻にペースアップを告げるが、後続のペースは衰えず、遂にホットスポット1km手前で合流する。こうなれば真っ向勝負しかない。ポイントリーダーの三船を綾部(共にミヤタ)が弾きその後ろに、廣瀬敏(アイサン)野寺の順でポイント前のテクニカルな道を走り抜ける。
ポイントラインまで200m、三船、廣瀬、野寺が横一列に並ぶが野寺が執念で1位通過。2位通過・廣瀬、3位通過・三船。これで野寺は廣瀬に1秒差を開く事に成功。この時点でタイム差3秒。その後各チームの最後のアタックが繰り返されるが、決定的なものにはならず。勝負は集団でのゴール勝負に持ち越された。最後200mの左コーナー。廣瀬(アイサン)をマークしていた野寺の左右から、ゴールを狙う選手が割って入る。この一瞬の動きでラストスパートする廣瀬(アイサン)から数メートル遅れてしまった。先行するのは三船、綾部(ミヤタ)廣瀬(アイサン)の3人。絶体絶命かと思われたがゴール直前、諦めずにギリギリ追い込んだ野寺が綾部を交わし3位でゴール。廣瀬(アイサン)は2位で入り-4秒を獲得するも、野寺も-2秒を得たことで辛くも1秒の差を守り、リーダージャージを死守した。
今回、ライバルチームが強力で、思うようなレースをさせては貰えなかった。しかし、それだけに330kmもの距離を走り、たった1秒のタイムを守りきった喜びは格別である。チームメイトの完璧な働きと、偶然が重なって得ることができた大きな勝利となった。自らの成績を捨て、1人の勝利に死力を尽くしてくれたチームメイトには、言葉では伝えきれない感謝の思いがある。次のレースからもチーム一丸となりプライドを持ってレースに臨んでいきたい。
また、今回も素晴らしいレースを作っていただいた、大会関係者、地元ボランティアの方々に心から感謝をいたします。また来年、この素晴らしいレースに参加できる事を心から願っています。
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